近年、我が国の木造住宅は多様なデザインや工法で建てられるようになってきました。また、木材はCO2を固定化し温暖化問題に資することから、非住宅用途の木造建築も盛んになってきています。建築では、使用された木材が湿潤しないようにすることが重要ですが、これらの動きに合わせるように、例えば小屋裏換気の場合は、従来の水平な天井断熱で小屋裏空間を換気する方法だけではなくなってきています。
しかし、外壁通気層や小屋裏換気に関する公的な技術ガイドライン(金融支援機構の木造住宅工事仕様書など)においては、換気の規定が提示されてから数十年間、ほとんど変更されておらず、また、我が国の多様な気候に合わせた規定にはなっていません。様々なデザインや気候特性に対応した、木材の乾燥性能を確保する設計・施工のガイドラインの提示が待たれている昨今です。
私の研究室では、2019年に当協会前身の屋根換気メーカー協会や城東テクノさん他の支援を受け、大学キャンパス内に実大の実験住宅を建設し、2020年から躯体内各部の防露性や換気性能に関する研究を行っています。また当実験住宅では、国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)や足利大学齋藤研究室とも共同で外壁の乾燥性能に関する研究も行っています。今後はそれらの成果を基に、実態を再現するシミュレーションを構築して、各種屋根形状・通気層形状、各種工法や各地の気候特性に応じた、建築物の長寿命化につながる設計・施工のガイドラインを提示していきたいと考えています。
このような中で、当協会の会員企業は、換気部材の供給を通して良質な住宅・建築物の普及に貢献しています。今後は協会として、さらに踏み込んだ、換気の重要性や理論的理解の推進、研究成果の普及などの重要な役割を担って欲しいと考えています。
松岡 大介
ものつくり大学 技能工芸学部建設学科 教授。
東洋大学建築学科卒業、同大博士前期課程修了、株式会社ポラス暮し科学研究所に勤めながら京都大学大学院博士後期課程での学位取得を経て、現職。
博士(工学)。一級建築士。